小説の更新は久しぶりです。
「微エロで32のお題」29作目を「L'oiseau Blue」にて公開しました。
rain
「埋み火」(うずみび)
http://blog.livedoor.jp/y_yukisaka/archives/52274817.html

埋み火とは、火鉢を消した中で完全に消えきっていない火、つまり種火のことです。
この種火によっていちから火を熾すより早く火が熾るようになります。
私がこの言葉を使ったのはどんな燃えかすの中にも火はある、というもので、
お釈迦様の説法の本にも書いてあって参考に読みたかったのですが見つからず。
きっとこういうのってあとから忘れた頃に出てくるんですよね(笑)
もう消えてしまった火も実は隠れているだけで残っているのだと、
その部分を恋に置き換えて書いてみました。

タイトルに火を使用しているけれど裏のもうひとつのテーマは水です。
だから最初、タイトルに迷ったのですが水を主体としたタイトルにしようとすると、
どうも横文字ばかり浮かんでしまって、それも悪くはないのですが、
今回の小説に限っては日本語がいいなと思い「埋み火」を選択しました。

ずっとメモ帳などに思いついたことをつらつら書き、
アイディアが少しずつたまっていった頃、
気づくと充電期間に入ってから5ヶ月が経っていました。
あの電池切れの状態のときはもうこれ以上何も書けないのでは、と、
思っていたほどなのに、またこうして書くことができました。不思議ですね。
もちろん適当なものではありません。適当どころか今回書いた小説が、
今後自分のテーマになるような気がしています。
その種火のようなものが文章の中に埋め込まれているのだと思います。
今回はお題ありとは言いながらないようなものだったので、
完全に書きたいものを書きました。起も結もないまったく自由な小説。
自由だから下手したら物語すらないかも知れません(笑)
でも私が望んでいるのは実はその「物語のなさ」で、
揺れたまま答えの出ない文章を書き続ける旅のようなものを綴っていきたいのです。
今回の「埋み火」はその決まった方向性での一作目としてちょうど良かったと思っています。

なのであらすじは、と言われると、少し困ってしまうのですが(笑)
ジャンルとしては恋愛です。故に性描写も少々ございます。
起承転結のはっきりした小説がお好きな方にはつまらないと思えるかも知れませんが、
これが幸坂かゆりの目指すものの一歩です。
どうぞご一読くださると嬉しく思います。