お題小説ブログ、Mistery Circleさま(第64回目)に掲載していただきました。
今回はひとつに絞れず、2作品書きました。

今回、私にいただいたお題は、

起 裏切ったのは、あんたの方じゃないか。そんな台詞が頭に浮かんだ。
結 その左手は義手だったのですね?

と、いう文章でした。

「砂時計の住人」
http://misterycirclenovels.blog.fc2.com/blog-entry-455.html

「軌跡」
http://misterycirclenovels.blog.fc2.com/blog-entry-456.html

ふたつとも関連性はなく、別々のお話です。
「砂時計の住人」は若干、暴力描写がございます。苦手な方はどうかお気をつけてください。「軌跡」はふたりの女性の終末と再生の物語です。こちらは暴力も性描写もございません。それでもふたつとも読んでいただけるとありがたく思います。ぜひご一読くださいませ。

最初にお題を受け取ったとき、裏切りや乱暴な台詞だったのでとても悩みました。そして義手。義手に関しては山田詠美さんの短篇小説でとても敬愛する作品があり、その物語を思い出してしまうとどうしても自分で書くものが陳腐に思えたので、そこから自分を切り離すのが個人的に最も大変な部分でした。

そして、今回、自分の中で「まるまる影響を受ける時期」と「この辺でやめておいて書くことに集中する時期」というのを、自分の中のキャディさんが完全に読み間違いました。書く段階に入らなければならないのに、読んだもの、観たものの影響が強く、なかなか取り掛かれない上に、影響がそのまま物語に反映されてしまい、何度もやり直しました。7作くらい物語を作り、6作目くらいに書いたものを採用して、何とか物語を膨らませ、いたはずの人物を削り…なんと言うか、MCさんに初めてお題小説を投稿したときを思い出しました。

いただいたお題は初見で、あ、書ける、と直感で思うものは、大体うまくカチッと嵌り、筆の進みも速いのですが、うまく嵌らないとお題という縛りが急に窮屈に思えます。最初は何もかもが初めてだったので、とにかく窮屈でたまらなかった(今だから言える)MCさんの中でもかなりのベテランになった今はお題の文面をかなり変化させたり、お題そのものをテーマにしたり、と応用を利かせられるようになったのですが、今回はその私の中のキャディさん(しつこい)のせいで、ほぼ何も書けず。もとい、書けるのだけど私の文章じゃなくて、影響を受けたものの受け売りのようになってしまった。なので、少し休憩してとにかくお題小説から離れてみました。そのおかげで、アイディアはたくさん貯まったのですが、いかんせんひとつの小説を書くには多すぎました(笑)いくつかのアイディアがまた、別の作品で発表できるよう活かしたいと思います。

小説を書いていたのはちょうどリオ・パラリンピックの真っ最中であり、そのことからも「義手」という言葉に敏感になりました。特別に普段からも差別したことはないし、身近にもいた。けれど物語の中に入るとどうしてもそれは特別な要素になってしまう。そこだけが目立たないよう取り組んだつもりです。

では今いちど、ぜひ読んでね!