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お久しぶりです。

ずっと観たかった映画「Livid」を鑑賞しました、が、
今日は出演している好きな女優さんについてのお話です。

ブログでも何度か名前を出しているベアトリス・ダル(以下ダル)
そう、近年では「屋敷女」が話題の彼女です。
私はあの映画、主演がダルというだけで、
全力で殺人する彼女を応援していた気がします。(注・役です)
ここ数日、ダル関連の映画を立て続けに観ました。
新作ではなく、私が観そびれていた作品です。
「ガーゴイル Trouble Everyday」
「Livid」
「屋敷女 A l'interieur」(再)
3つか…

ダルの若い頃。それはそれは挑発的な美人でした。
白い肌、三白眼、分厚い唇、すきっぱ、グラマーな体型。
しかし映画でも現実でも暴力振るうし、逮捕もされるし、
映画よりもスキャンダルしか耳にすることが多いほどでした。
役もどこか精神が不安定な女性が多く、
やたらと濡れ場やヌード、最近では虐殺シーンがあり、
私の中でダルのジャンルは家族と絶対一緒に観られない系認定女優でした。
いや今もそうですが…あらゆる意味で…。
そんな若い頃のかわいい彼女はこちら。

デビュー作「ベティ・ブルー」撮影の合間のようです。
共演のジャン・ユーグ・アングラードとのやりとりが微笑ましい。


そして私にとって一番新しいダルを目にしたのが「Livid」です。
それでも2011年の作品。監督は「屋敷女」を担当したコンビ、
アレクサンドラ・バスティロ&ジュリアン・モーリー。

過去にバレエ学校だったお屋敷が舞台で、
ダルはヒロイン、リュシー(かわいい)の亡くなった母親の役で僅かな出演。台詞もなし。
生きている時のシーンはなく、映画の前半、ヒロインにだけ見える幽霊として。
しかしその一瞬だけでも心臓に悪いインパクトのある一瞬でした。
そのあと中間でも一度だけ映りますが髪で顔が半分も見えない。
なのに、娘を想う気持ちは現れている。眉の動きで。
私はそこでダルを見守ってきた母親みたいな気持ちになった。

まだ若手女優だった頃のダルはたくさんの誤解を受け、
判ってもらえないことを表すため、がむしゃらに行動していたように思う。
作品も同性愛、薬、精神病、宗教、略奪、など幅広い選択。
ダル自身は選択と言うよりは「猫の勘」のように監督と気が合えば、
結果も求めず出演決定という形をとっていたようです。
どの作品も彼女は独特な個性で際立った存在感でしたが痛々しく映った。
どうしてこんなに穢れたり、傷つく役ばかり、と疑問に思うほど。

そこで先の、私が母親のような気持ちになったことに戻るのですが、
若く美しい狂気から、若さが取り払われた現在、
彼女は狂気の演技を佇まいのみで表現できる存在になった。
そのことに感慨深くなったのです。その姿はもはやエレガントでした。
だからこそ、4カットくらいの出演でも印象に残る。

狂気を連呼してしまったけれど、多分、本音の部分、
一般人なら隠しておきたい部分があるのを彼女は許さないのでしょう。 
人間なのだから汚いところもあるし裸にだってなる。体液もある。
本気で怒れば手も出たりする(いけないけど)
目も抉ったりする(しないけど)
彼女の前で綺麗ごとは通らない。
それは、彼女の作品を観ればわかることでした。
血まみれだし、暴力主義者だし、匂いがしそうなほど生々しくて、
ああ、こんなの口にしたら食中毒に、とか余計なことを考えず、
その血だまり、肉だまり、暴力の中ですら、彼女の姿は凛としている。
これからも本能と猫のような勘で選んだ作品にたくさん出て欲しい。
ファンである私も本気で待ちます。ええ。
映画は話題作もいいけれど、この監督が、この俳優が好きだから観る、
という気持ちが私は大きいです。

そんな想いがあっての「Livid」鑑賞。
本編感想は後編にて! 

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冒頭と最後のこの画像は「Livid」作中に出てくる少女たちのひとり。
このシーン、怖くて痛いのですが同時にとても美しい。