
私たちは友達同士で、軽く夕飯を食べに店を探した。
魂は当然、大澤さんに抜かれていたけれど、
とりあえず涼しい場所で早くおしゃべりしたかった。
和風のお料理屋の店員さんが声をかけてきたので、
そこに行くことにする。
店員さんはおしゃれをした私たちに、
「お祭り、どうでした?」と訊いてきた。
M姉さんは「ライブに行って来たの。STBで」
店員さんは「どなたのですか?」とまた訊いてきたので、
「大澤誉志幸」と答えると、何と首を傾げたのだ。
許さん。これはもうたっぷりサービスをさせて、
いたぶってやらねば、と私たちは声に出さずとも、
心の中でターミネーターになっていた。(と、思う)
しかし店員の彼はとても若かった。
うーん。知らなくても当然と言えば当然。
しかし辛口世代な私たちは口々に「勉強してねー」と、
あくまでも優しい口調で責めた。
姉さんは、店員の兄さんに藤井フミヤ氏に似ている、と言い、
本人も少々意識していた。
そして涼しい個室へと案内してもらった。
さっそく献立を広げるとその中で目に入ったもの。
それは、
出汁巻き玉子。
はい。ここでも立派に心の中に大澤さんが息づいていました。
(大澤さんレシピの出汁巻き玉子はまだ作っていないんだよなあ)
みんな口を揃えてこの一品を頼むことにする。
他に、シンプルでさっぱりした口当たりのざる豆腐、
ぽってりした熱々のつくね、ガーリック風味で香ばしいハラミの串焼き、
つるつるとした喉ごしの冷やしうどん、味噌がたっぷり乗った焼きおにぎり、
高菜などのお漬物盛り合わせ、などなどを注文し、
皆さんそれぞれの飲み物で新ためて、お疲れ様&再会の乾杯。
ぱくぱくと胃を潤し、飲んで食べてしゃべった。
私は少し食欲が出なくて申し訳ないほど残してしまったのだけど、
たった今、とても食べたい(笑)
フミヤ似の兄さんが大澤さんを勉強した頃、
また食べに行きたい。覚悟。
かなりの時間、しゃべったと思う。
けれどそれが楽しくて楽しくてとまらない。
しかし、それぞれの帰途に着くため、名残惜しかったが店を出た。
外は夜だと言うのにまだまだ暑い。
そこでひとり涙のお別れ(ウソ)をして、
私たちは今夜泊まる予定のホテルへと直行。
そこでまたひとり、別のタワーだったため、涙の(以下略)
明日も会う予定だったので、待ち合わせ場所と時間を決めて、
おやすみなさい、と手を振った。
なぜだか私とM姉さんの部屋は値段をそのままに、
グレードアップされていて、カードキーを挿し込み
37階の部屋のドアを開けると、
東京タワーや美しい夜景が一望できるロマンティックな部屋だった。
私たちは窓にかぶりつくように外を眺めた。
ああ、私は東京にいるんだな、と実感。
大澤さんも住むこの街に。
ふと、鏡のように窓に映る自分の姿に驚く。
おしゃれな人から見ると大したことはないのかもしれないが、
私には精一杯のおしゃれだった。
その姿が、とても不思議に思えたのだ。
ちょうど世界陸上を放送していたので、
流しつつ見る。私たちの目当てはどうしてもウサイン・ボルトで、
ここでも思い切り大澤さんのトークを思い出していた。
姉さんがシャワーを浴びている間、私も化粧を落とし、
ストッキングを脱いで、ソファーに足を投げ出した。
飛行機の中なのか、空港の待合室なのか、場所はわからないが、
実は虫に刺されていて、左足がぼんぼんに腫れていた。
黒いストッキングでほんとうに良かった。
ふと、耳を澄ますと姉さんがバスルームで鼻歌を歌っているのが聴こえた。
思わず聞き耳を立てる、エロかゆり。
曲は「夏の終わりの午後」
シャワーの湯の音と、か細い歌声は最高のBGMだった。
続いて私がシャワーを浴び、出てくるともう姉さんはベッドに横になっていた。
少しだけおしゃべりをして空調で体の火照りを冷ましてから、照明を消した。
ベッドで目を閉じて、今日の大澤さんを思い返しながら2時頃就寝。

23日は、私、姉さん、Bさんと東京の街を闊歩するのだ。
私の行きたい場所はどこも店の中、というよりは外観だったのだが、
それでもいいから見てみたかったのだ。この目で。
そんな訳で、東京タワーが消える12時前に写真を撮り、
朝、もう一度夢から醒めたタワーを写真に収めた。
下を見るとホテルの敷地内に小さな水族館があるのか、
イルカがジャンプする様子が見えて、興奮した。
こんなに都会の真ん中にいるのに、自然はやはり自然で、
飼育されているとしても、その姿は美しかった。素敵なプレゼントに思える。
私たちはそんな朝の景色を見渡してから、今日への用意を始めた。
***
すいません。またつづくのかよ!という感じになってしまいました(笑)
もう、こうなったら思う存分書きます。ついてきてください。
画像は夜の都会と朝の都会。違う顔を見せて惑わす源。
しかしどんな顔を見せても、ここは紛れもなく都会なのだ、と思った。