takahiko_kozuka2009


最近、お気に入りで繰り返して見ているものがある。
それは男子フィギュアスケート、小塚崇彦選手のプログラム。

フィギュアスケートを見るのが好きなのです。
どちらかと言うと女子シングル寄りで浅く偏った見方をしています。
しかし、フィギュアスケートは競技だけれど音楽に乗せて滑る、という点で、
華やかで、また選手の選ぶ曲も好みだったりするととても楽しい。
けれど舞台は氷の上。やもすれば命の危険もあるスピード感のある競技。
なので音楽はとてつもなくドラマを生み、まるでひとつの作品を見たような気にさえなる。
 
そこで唐突に小塚崇彦選手なのですが、
ほぼ私に彼の知識はない。初めて名前を知ったのも去年という浅さ。
初めて注目した演技は「ロミオとジュリエット」ニーノ・ロータの作品。
最初に大技4回転を失敗したけれど、小塚選手に動揺は感じられず、
その他は、ほぼ完璧なスケーティングで、感動するには十分な演技を披露した。
多分、高度な技術がなければ出せないであろう流麗な線は本当に美しかった。
そこから小塚選手は特別な思い入れのある選手の一人になった。

私のように失礼なくらいぼんやり見ている人間であっても、
雰囲気ではなく技術で人を酔わせる凄さが絶対的に必要な競技なのだと思う。
流れるスケーティングと同時にキレもなければ退屈になる。
小塚選手の演技はノーブルで、ひとつひとつの動きが彫刻のように美しく、
初めこそ質素に思えた衣装も彼の滑りを引き立てるには適切なものだと思えたほどで、
演技が終わり、最後のポーズを決めた瞬間、拍手の渦だった。
感激して涙を溢れさせる外国人の女性も画面に映し出され、私自身も感激し、
そこから以前のものも見たくなり、遡って小塚選手のプログラムを探した。
同じく去年のショートプログラムの曲は「TAKE FIVE」
ご存知クールなサウンド。小塚選手のリズム感の良さが際立ち、ステップは圧巻。

 
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FS「ロミオとジュリエット」

 
SP「Take Five」
 

Ex 「Closer」



そして迎えた今シーズン。
期待した選曲はショートにジミ・ヘンドリックスの「Bold as Love」
ロングプログラムもマイケル・ケイメンの「Guitar Concert」※動画がなかった
え、ロック?と思い、ほんの少し残念に思った。
成長するために、さまざまなジャンルは必要になるだろうけれど、
小塚選手の持つ癖のないピュアな美しさに魅かれたので、
そういった華やかさはエキシビジョンにしてもらって(おい
もう少しだけ、まだあの端正な美を見ていたいと思った。
が、蓋を開けてみると男っぽい骨太さに加えて、
更に彫刻度(?)が増しすべてのポーズが芸術的で嬉しい誤算だった。
更に驚愕したのはエキシビジョン。
今までも楽しいナンバーが多かったが、今回の選曲はNE-YO 
それもノリの良いダンスナンバー「Closer」
 
この演技には、途中でリバーシブルになっているシャツを裏返して着る、
という場面があるのですが、私が見たものは衣装チェンジの際、
シャツが引っかかってしまい、完璧には滑られなかったものだった。
(最後はシャツを脱ぎ捨てた)
しかし歌詞に出てくる男の気持ちと、シャツに腕を取られ、
動けないというもどかしさがぴったりはまり、
ラスト、ほとんど助走なしで跳んだジャンプの見事な着氷も含め、
その時のエキシビジョン演技が最高の「Closer」として残っています。
 
小塚選手のスケート技術は世界のトップレベルだそうです。
もちろん育った環境は大きく、両親、祖父共にスケート選手であり、
サラブレッドと評されるのはプロフィールとして仕方がないことだけれど、
彼自身にとっては尊敬に値するとしても、ごく普通の両親、祖父、であると思うので、
時折、競技を中継するアナウンサーの放つこの言葉が引っかかる。
それはどれほど難しいことをやってのけても、ことごとく、
「そこはサラブレッドだから」という言葉に変換してしまうこと。
どんなに血筋が良いと言われても本人の努力なしに、ここまでは来れないと思うので、
きちんと本人を賞賛してこちら側に伝えて欲しい。
 
※小塚崇彦選手のプロフィールはコチラ→Wikipedia